今週のお題「読書感想文」
今回読んだ本はこちら!
「キリンビール 高知支店の奇跡 著:田村 潤」
この本を読み終わってから、キリンビールを見る度に「じーん・・・」となんだか感動してしまい、スーパーではわざわざキリンビールを探して買うようになりました。
読んだ人はきっとそうなるはず!!
そして、働き方改革が推し進められているこの世の中で、仕事ってなんだろう、自分はどう働いていきたいんだろうというのを、思わず考えさせられてしまいます。
読んだ人がキリンビールのファンになってしまうこの本について、ご紹介します♪
あらすじ
著者である田村氏は、上司との仲たがいにより、本社から高知支店に異動。
周囲からは「左遷」と言われた。
田村氏が異動したばかりの頃、高知支店にいたのは、本社の指示にただただ従っておけばいいという、完全に受け身な従業員ばかり。
高知支店は四国ではお荷物支店と呼ばれ、売り上げ最下位ランクの支店だった。
また、その頃世間では、1954年以降、国内シェア1位をキープしていたキリンのラガービールの売り上げが急落していた。
1987年に、アサヒスーパードライが登場したためである。
高知ではまだギリギリ、キリンビールの方がシェアは勝っていたものの、田村氏が、町の居酒屋などに視察にいくと、そこではキリンビールではなく、アサヒスーパードライがずらりと並んでいるのであった。
田村氏の願いは、
"これまで愛されてきたキリンラガーを守ること。
そして、一人でも多くの高知の人に、キリンラガーを届けること。"
その目標を達するべく、田村氏は高知支店の営業マンたちと、「結果のコミュニケーション」を行った。
"結果はどうだったのか。なぜ目標に達していたなかったのか、次どうすれば良いのか。"
これを、支店の営業マンたちと、毎月粘り強く行った。
これまで、本社の指示に従って動いておけばよいと思っていた営業マンらは、逃げ場がなくなったことで、地道な"質より量"の営業活動を続けた。
1996年、一度高知ではアサヒビールに首位を奪われたものの、その敗北感をバネに、そして、高知の人々の人柄を熟知した手段で戦い続けた結果、2001年に首位を取り戻す。
ただし、2001年は、全国的にはキリンビールがアサヒビールに首位を奪われた年でもあった。
田村氏は、高知支店から異動となり、今度は四国地区本部長に。
さらにそのあとは東海地区本部長、本社営業本部長、代表取締役副社長を務めることになる。
どの地区、どの役職であっても、高知で得た、現場に寄り添った戦い方を徹底し、ついに2009年度、キリンビールは首位を取り戻したのであった。
時代と逆行する考えが成功のカギ?
田村氏は、営業活動において、"質より量"という考えをもっていました。
彼がやってくる以前の、高知支店全体の料飲店の訪問軒数は、月間30~50軒ほど。
それを、なんと4倍近くの200軒にまで増やしたのです。
一般的な仕事でよく言われるのは、"量より質をとれ"、ということ。
がむしゃらにやったって、質が良くなければ、それは下手したらやっていないことと同じこと、効率が悪いと言われますよね。
当時のキリンもその考えだったようですが、田村氏はそれには従わず、徹底的にお客さんと顔を合わせる回数を増やしていき、お客さんの本音を聞き出し、解決することで、信頼関係の構築を図りました。
私は本社の事務職ですが、やはりどうしても現場は遠くなりがちです。
どんな問題が起きていて、従業員が何を求めているのか、数字データで示された資料を見て、施策を考えるのが普通です。
ただ、やっぱり自分で現場を見ないと、なかなか本当の問題にはたどり着けないし、問題を解決する糸口も見つからないんだろうなぁとしみじみ思ったのでした。
こういうリーダーが欲しい!
田村氏は、まさに理想のリーダーです。
・自分がブれない信念を持っている(考えが一貫している)
・明確な目標がある
・単純明快な指示を出せる
・部下にこまやかなフィードバックを与えられる
・自ら現場に足を運ぶ
・違うと思えば、本社や上司にだって異論を唱えることができる
・部下のモチベーションを挙げることができる
言動は、「目標クリアするまで家に帰るな!!」とか、今だとパワハラとか言われそうなこと言っていますが、自分がそれだけ働いているし、責任も負っているし、情熱もあるんですよね。
まぁ私が仮に彼の下で営業をやることになったら・・・と考えると、少しぞっとするのが正直なところですが。笑
ただ、これだけ仕事に情熱をもてるのって、本当に羨ましいなと思いますし、こういう人の下で働いたら、仕事観も変わってきそうだなと思いました。
自分の会社で気づいたのが、上司の言動1つで、部下のやる気や行動は変わってくるということです。
ミスばかり指摘して、成長を認めてくれない上司にあたれば、何してもだめだという諦めが生まれます。
上には媚びへつらい、部下には当たり散らすタイプが多いですね。
逆に、部下の仕事は管理するものであって、監視するものではないという考えのもと、ある程度自由にやらせてくれ、成長を促し、認めてくれる上司にあたれば、色々なことに挑戦しようというモチベーションが生まれます。
就活のときに、よくESで「周囲を巻き込んで何かを成し遂げたことはありますか。」という設問を見ますが、まさにこの周囲を巻き込む力は、上司スキルとして必須ではないでしょうか。
信頼関係や、人から尊敬される何かがないと、周囲は巻き込まれてくれません。
こういった経験がすでに学生時代にできているというだけで、会社でもきっと、みんなから信頼され、尊敬されるリーダーとして頑張ってくれる、そう思うのです。
どうして"本気"を避けてしまうのか
みんなが一致団結し、キリンビール首位奪回に向け奮闘する姿は、本当にかっこいいです。
残業もいとわず、事務方も含めてみんな必死なんですよね。
どうしても、今の時代"仕事"とプライベート"は明確に分かれていて、両立を求められます。
仕事をがむしゃらにやって、プライベートをないがしろにしている人、人生もったいないよねっていう考えです。
そんなにお金欲しい?とか、出世のために必死だね~みたいな声が聞こえてくることもありますよね。
私は、人によってこの比率は違っていいんじゃないかと思うんです。
よく、採用担当時代に、こんなことを学生さんに話していました。
「例えば独身のときは、仕事9、プライベート1で仕事を頑張る。
結婚したら、仕事3、プライベート7で、家庭を大事にする。
子どもが成長して落ち着いたら、仕事7、プライベート3で、仕事の比率を上げていく。
人によって、ライフステージごとに比率は違うだろうけど、その理想の比率をいかに叶えられるのかを確認できる1つの指標が、福利厚生制度なんだよ。」
だから、仕事の比率が高いときは、がむしゃらに、本気でやってもいいのではないかと。
キリンビールが2009年度に首位を奪回したとき、そのニュースを日中の営業活動中に車中で聞いたキリンの女性は、嬉しくて運転しながら泣いたそうです。
これ読んだとき、私も涙が出ました。
スポーツでも仕事でも、努力して報われたときというのは、心の底から嬉しいものです。感動すら覚えます。
逆に、努力がなければ、挫折もなければそういった心が震えるほどの喜びも生まれないでしょう。
ただ、この挫折経験というのが異様に怖い。
がんばったのに報われなかったという経験をしたくない。
無駄な努力をして、自分ができないヤツなんだと認識したくない。
周囲から熱いやつだと冷やかされたくない。
それなら、ほどほどにがんばって、ほどほどに失敗して、ほどほどに成果が出ればいっかと考えてしまう。
こういう人、多いのではないでしょうか。
大きな声では言えませんが、私が割とこっち寄りの考えなので・・・。
本音を言えば、この本を読んで、その考えが大きく変わったわけではありません。
できるだけ仕事をさっさと終わらせて、自分時間を充実させたいと思っています。
でも、こういう経験も、ちょっとしてみたいな・・・と心が動いたのも確かです。
とりあえずこれから自分がどう変わっていくかは、私にも分かりません!
キリンビール、応援します!!
この本を読んで確実に変わったのは、買うビールがキリン一本になったこと!
影響を受けやすい性格なので。笑
スーパーとか居酒屋でキリンビールを見かける度に、この裏に営業マンたちのすごい努力が・・・と想像してしまい、思わず手にとってしまうんですよね。
(もちろんアサヒとか他メーカーの方々の努力もすごいものがあると想像しているのですが、この本で知ることができたのはキリンなので・・・。)
活字ですらここまで影響されたので、実際に営業マンと会っているお店の方々は、より心を動かされ、結果、キリンビールをお店に置くようになったのでしょう。
そういった裏事情を知った上で飲むキリンビールは、ほんっっっとうに美味しいです!!
ビールの味の違いなんて、そこまで分かっているわけではないですが、なぜだか美味しい!
是非、ビール好きの方はこの本を読んで、よりキリンビールを美味しく飲んでいただきたいなと思います。
・・・あ、最後に。
私は飲料メーカーの者ではないので、決してキリンビールの回し者ではありません。。。